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 のどかにもやがてなり行くけしきかな昨日の日影けふの春雨

   伏見院(岩波文庫『玉葉和歌集』23頁)



 大学生のころに何かの本でこの歌を知って、「お、いいな」と思った。それで『玉葉和歌集』を図書館から借り出して読んでみたら、他の歌の印象は、特段この歌のように「のどか」なわけでもなかった。

 以来ときどき、何がちがうのだろうと考えてみる。意味? 調べ? いろいろと考えて、結局「ま、いいか」となる。それもこの歌の恩寵だろう。

 景色とか、昨日とか、今日とか、何かを言っているようでもあり、何も言っていないようでもある。茫洋としているところが春らしい。


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