最新の頁   »   短歌一般  »  『はつごよみ』——ネットプリント初体験
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 新年おめでとうございます! 
 本年もよろしくお願い申し上げます。



 さて、昨年の歌壇年間回顧の類の文章で盛んに出てきた「ネットプリント」。一度体験したいと思い、知り合いにやり方を教えてもらって、早速セブンイレブンに行ってきた。各作品の印刷できる期限が決まっている由。

 コピーと同じ機械のタッチパネルで、あらかじめ教えられていた番号や記号を入力し、実行ボタンを押すと、たちまちA4判の紙が1枚、カラー印刷されて出てきた。金額は60円。まことに簡単だ。

 しかし、簡単とはいえ、家のなかでパソコンやタブレット端末にデータをダウンロードするよりはずっと手間がかかる。そこにこそ、逆におもしろみもあるのだろう。

 はつごよみ

 今回手にした作品は、「はつごよみ」。

 1月1日発行。発行者、黒瀬珂瀾。編集、中家菜津子。デザイン、井龍ひとみ。参加歌人は薮内亮輔・服部真里子・内山晶太・さとうはな・黒瀬珂瀾・中家菜津子・光森裕樹・野口あや子・中島裕介・山崎聡子・加藤治郎・東直子で、1人1首。12人が1月から12月までの各月を分担し、それぞれその月、もしくはその月の異名を詠み込んだ1首を詠む、という趣向である。

きさらぎの空はきれいな長い胴、ときおり銀のパーツをこぼす
  服部真里子

花鋏にやどる冷たい十月のひかりに燃えろ、燃えろよと言う
  山崎聡子



 なかではこの2首がよいと思った。

 服部さんの1首、「銀のパーツ」は雪のようでもあり、日の光のようでもある。いずれにしても、凍てついた空気の感じがよく表われている。「きれいな」は単純すぎる形容詞で、添削では真っ先に削除されそうだが、ここでは「きさらぎ」との頭韻で納得させる。

 山崎さんの1首、内容はたわいないのかもしれないが、何か言葉に力がある。不思議な才能だと思う。

なんという名がつきますか明月を誰かと眺めていたい気持ちに
  中島裕介



 「名がつき」に「長月」が隠れている。アイデアは洒落ているが、表の意味「何という名がつきますか」は言葉の使い方としてやや無理があるか。

 井龍さんのデザインが華やかで、正月にふさわしい。季節の鳥が十数羽。私にわかるのは、キジ・ツバメ・ツル・ミミズク・トキ・フクロウ・タカ。ウグイスとかヒバリとかもいるのだろうか。

 短歌の世界でネットプリントの流行が当分続くようなら、このメディアと短歌との関係についてあらためて考えてみたい。


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