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 本年の最初の「読書」は、元日に読んだこの本。気楽にどんどん読んだ。

 明治以降の短歌でもって「新・百人一首」を編むという趣向で、選者は岡井隆・馬場あき子・永田和宏・穂村弘。2013年3月20日第1刷。

 第1章が本編で、第2章が選にあたっての座談会という構成になっており、座談会の方にはゲストとして檀ふみさんが加わっている。

 永田 ……「はたらけど」は嘘だもんね(笑)。だって啄木は仕事が大っ嫌いな人でさ……。
  仕事が大嫌いだから、ちょっと働いただけでも「働けど働けど」と思うんですよ。
 
(石川啄木「はたらけど/はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」について 230頁)
 
 穂村 僕はこの歌の真意がよくわからないんです。神がもし口をきいたら自分のようだ、という意味ですか。
  自分はそれぐらい人間を深く愛している、と。
 
(釈迢空「人間を深く愛する神ありて もしもの言はゞ、われの如けむ」について 231頁)



 どう見ても、「プロ歌人」より檀さんの方が歌が読めているように見えるのが、可笑しい。もしかすると、檀さんの方が読書量(歌集・歌書に限定しない)が多いのかもしれない。


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コメント
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角川「短歌」1月号の歌壇時評の最後にちょっと書いたのですが、歌人の中には「本当に歌が読めるのは歌人だけ」ということを言う人が、けっこういます。

例えば、穂村弘さんは『短歌の友人』に収録されている「〈読み〉の違いのことなど」の中で、「いつだったか、永田和宏が、歌人以外の人の歌の〈読み〉に心から納得できたことがない、という意味のことを書いているのを見た記憶があるのだが、基本的に私も同感である」と書いています。

僕はこうした考えには反対で、これは歌人側の根拠のない奢りに過ぎないと思っています。大事なのは、もし本当に違いがあるとして、そこから何が導き出せるかを考えることでしょう。

以前、このブログで「歌人は、古典和歌も近代短歌も歌人の視点で読むのだろうか」と書かれていて、目からウロコの思いがしました。歌人(私も含めて)の読みには、基本的にそうした「歌人の視点」が入っているように思います。

それがプラスに働く時もあれば、マイナスに働く時もあるような気がします。

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 あけましておめでとうございます!

 角川の1月号の文章拝見しました。歌人でない研究者にとっては、励みになるお言葉でした。

 よい歌を詠める人がよく「読める」人でもあるというのは、まあそのとおりなのでしょうね。優れたピアノ演奏を聴けば素人の私でも感動しますが、一方でそのピアニストの同業者である別のピアニストは、私には聞こえない何かを聴き取っているのだろうなあと想像できますから。そのとき、素人の私は逆にピアニストの同業者には聞こえない音を聴いていると言えればよいなと思います。

 ところで、ちょっと考えてみると、それとは別になかなか難しい問題もあるようです。単純な意味での「本当に歌が読めるのは歌人だけ」という言葉が間違っているのは明らかですが、もう一つ奥の意味ならどうでしょう。

 松村さんが引かれた『短歌の友人』の該当箇所を見てみましたが、あそこで穂村さんが言っているのは、近代以降の歌の本質を理解している人としていない人との差ですよね。その前者を「歌人」と呼ぶとすれば、その人が実作をするかどうかはあまり関係がなくなります。

 私が記事に引いた座談会の場面では、永田さんや穂村さんは歌人ではなく、檀さんこそが歌人であるということになるわけです。

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