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 引き続き、加藤英彦・染野太朗・松村由利子の座談会の感想。

 加藤によれば、角川文庫版の『寺山修司青春歌集』や岸上大作『意志表示』の初版本と改版本を比較すると、どちらも前者に収録されながら後者では削除された歌が複数あるという。興味深い指摘だと思う。文庫本の各版の異同まで調べている研究者はそうはいないのではないか。加藤が挙げている歌は次のようなものだ。

作文に「父を還せ」と綴りたる鮮人の子は馬鈴薯が好き
  『寺山修司青春歌集』1972年版(2005年版で削除)


豚を飼う朝鮮部落の朝餉する汁の香りが匂う清しき
  『意志表示』1972年版(1991年版で削除)


 また、講談社学術文庫『寺山修司全歌集』(2011年)は無削除で、「故人である作者の芸術表現であること、作品の時代背景に鑑み」云々の添書きがあるとのことだ。時代によって言葉の取扱いが変わった一例ということになろう。削除版について加藤は、

 でも、そうした出版社の対応を〝事なかれ主義〟と批判するのは少し酷な気がする。(略)当時の社会状況ではなかなか難しかったろうと思います。


と述べているが、私もそう思う。


     §


(つづく)


(2020.4.17 記)

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