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 鼓直氏が亡くなったことを人づてに聞いたのは、4月4日のことだった。同じ日、御葬儀がとり行われたという。それから毎日、新聞の社会面を注意して見ていたが、訃報はなかなか出なかった。したがって、ウィキペディアの「鼓直」の項も、没年月日の記載が無いままだった。

 結局、訃報が新聞各紙に一斉に載ったのは29日になってからだ。なぜこの日だったのか、分からない。

 後で調べてみると、神戸市外国語大学のウェブサイトには、氏の死去を知らせる文章が15日付で掲載されていた。同大には氏の薫陶を受けた関係者がいるから、新聞報道より情報が早かったものと思われる。なお、ウィキペディアの編集履歴を確認したところ、26日に同大の情報を典拠として没年月日が追記されていた。

 さて、ここに不審なことが一つある。同大ウェブサイトも新聞各紙も一様に氏の亡くなった日付を「4月2日」としたことだ。私が伝え聞いている日付は「4月2日」ではない。それは御葬儀で喪主の御挨拶を直接聴いた方から私まで伝わってきた情報だから、まず間違いのないものだろう。

 そこで思うのは、新聞報道の正確性とはこの程度かもしれないということだ。しかしまた、こうも思う。世間がみとめる「事実」とは「4月2日」の方であって、過去の事柄の調査も、あるいは「4月2日」を発見した時点で完了するのではないか。


(2019.7.17 記)

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