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 一昨年から「菱川善夫著作集を読む会」に参加している。少人数の私的な研究会だ。三、四ヶ月に一度、東京駅近くで開かれる。毎回著作集の一巻を取り上げ、担当者が研究報告をする。今のところ第六巻まで進んでいる。

 さて、この会で、私は実は第五巻の『おのれが花:中城ふみ子論と鑑賞』(沖積舎、2007年)を担当し、すでに報告した。その際、とにもかくにも、同書を飽きるほど繰り返し読んだ。半ば自己満足ながら、付箋も多数貼り付けた。だから、『短歌往来』7月号掲載の阿木津英「批評家菱川善夫の死角:中城ふみ子論を中心として」がその第五巻を批判的に論じていることには、注目せざるを得なかった。

 阿木津の主張の一部は、私が感じていた事柄にも近い。ただ、その事柄が同書の評価を左右することはない、と私は判断していた。したがって、「読む会」で報告したとき、時間が限られる中でそれには言及しなかった。自分の判断はあるいは間違っていたかもしれない、と阿木津の文章を読んで少し迷っている。

 一方で、腑に落ちないところがないわけでもない。『短歌往来』同号の編集人である佐佐木頼綱は、

 菱川氏の死角に触れた阿木津英氏の評論にも心動かされました。私がうまく読めなかった部分の理由が明快に書いてありました。なるほど、この時代の男のロマンなのか。(編集後記)


と素直に感嘆している。しかし、阿木津がそれほど「明快に」問題を整理したとは私には思えない。「この時代の男のロマン」を菱川が単純になぞったとも思えないのだ。


(続く)


(2019.6.24 記)


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