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 こととへば秋の日は濃きことばにてわれより若きガルシア・マルケス

   山中智恵子『神木』(1986年)



 鼓直氏が亡くなったと聞いた。例の通り、ウェブ上に知りたい情報は何もない。代わりに『伝奇集』の鼓訳を揶揄的に非難するページを見付けて、腹が立った。学問を批判の対象とすることは当然だ。しかし、篠田一士訳や鼓訳が存在しなければ、こやつはボルヘスの名すら知らないままだったに決まっている。先学への敬意を欠く者は常に下品だと思う。

 昨秋、鼓編『ラテンアメリカ怪談集』(河出文庫、新装版、2017年)収録のエクトル・アドルフォ・ムレーナ『騎兵大佐』をたいそうおもしろく読んだ私は、鼓氏にファンレターのような手紙を書いた。氏はその手紙を確かに読んでくださったそうだ。これも伝え聞くところによると、氏がラテンアメリカ文学の翻訳を志したのは、この『騎兵大佐』の原文に感銘を受けたのがきっかけだった由。

 山中智恵子の一首を当ブログの記事に引いたのは、ちょうど五年前のことだった。今、同じ四月に再びこの歌を思い、日本の伝統詩人と詩人気質だった翻訳家との縁を思う。というのは、山中もまた鼓訳の本で『百年の孤独』を読んだに違いないから。


(2019.4.6 記)


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