最新の頁   »   短歌一般  »  『歌人クラブ』1953年1月号の記事
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 『歌人クラブ』について、私は多くを知らない。短歌史関係の本に情報が載っていたという記憶もない。稀覯の資料といってよいものだろう。

 私はその21号(1953年1月25日付)だけ、見たことがある。タブロイド版の月刊紙で、紙名の下に「総合短歌紙」と銘打ってある。今の『現代短歌新聞』や『うた新聞』のようなものだろう。発行元は「歌人クラブ社」、編集兼印刷発行人は福田栄一である。

 2面に「歌壇でまでまさろん」という無署名の記事がある。当代の著名歌人について、三、四行の会話形式で作り話をする。漫才のように可笑しくて、しかもその歌人の本質らしきものを穿っている——と読者に思わせることができれば成功。マジメ一方の現代歌壇では、まずあり得ない内容である。

 ただ、これを楽しむには、歌人に関する知識が要る。当時の歌壇関係者には常識だったことをこちらは知らないので、どこでどう笑えばよいのか悩むことになる。

 前川佐美雄

「なかなか東京へ出て来ないね」
「あの男はお山の大将だからね」


 「前川佐美雄」がお題。これは分かりやすい。奈良住まいの話にかこつけ、佐美雄が早くから自分中心の歌誌を持っていたことについて悪口を言っている。

 近藤芳美

「更年期だつてナ」
「誰が?」
「近藤がよ。自分で宣伝してゐるのだから間違ひはなかろう」
「一種のエイタンだね」

  (いちいち注記をしないが、仮名遣いは原本通り。以下同)


 とくにおもしろいとも感じないが、意味はまあ分かる。

 葛原妙子

「みんな忘れるさうだね、区別を…」
「何の区別さ?」
「例へば、大内豊子が山口茂吉の妻君で、四賀光子が…、と、いうやうなことを、ね」
「何の話かね、何かの話だろ」


 これが分からない。何の話かね。


(2017.8.1 記)

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