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 前の記事ですでににも言及しているが、その続きを少し。

 山田は現代における文語旧かなを「コスチューム」、すなわち言葉をキッチュに装うものと捉え、それを使用する短歌を「言葉のコスプレ」と呼びつつ、次のように記す。

 文語旧かなで書かれた時事詠や社会詠には(略)違和感をずっと覚え続けてきた。作者の「本気」が薄まっているように思えてならなかった。文語あるいは旧かなの文体を採用していながら今この時代のリアルを表現することは、もはや不可能になってしまったのではないか。


 「今この時代のリアルを表現することは、もはや不可能」という主張は、明治以来の「短歌滅亡論」や戦後の桑原武夫「第二芸術」を思い出させる。だから、次のような反応が出るのは当然の展開だ。

 山田は文語旧かなは「言葉のコスプレ」だと言うが、それを言うなら、そもそも五七五七七という定型に言葉を乗せている時点で、間違いなくコスプレだろう。同様に、俳句も詩もコスプレだろう。普段着の言葉ではないことはたしかなのだから。それを、いきなり短歌というジャンル内の文語旧かなと口語新かなの間で「コスプレ」か否かの線引きをしようというのは、いささか了見が狭いのではないか。(「五七五七七というコスプレ」)


 ウェブ上で見付けた文章だが、誰が筆者か、私は知らない。ともかく、短歌定型自体が古びた修辞法である以上、この反論に山田が再反論することは難しいだろう。

 そもそも、批評家が古い技術をけなすのはヤボだと思う。もしもモノクロ写真をけなしてカラー写真を褒める批評家がいたとしたら、滑稽だ。劣勢の方をわざわざ批判しても仕方がない。

 山田は短歌における文語旧かな使用から口語新かな使用への移行は時代の必然で、「もはや抗えない」と主張する。本当にそうであれば、時評に取り上げる意味はない。しかし、山田は意味があると考えた。

 だから、「もはや抗えない」というのは錯覚、もしくは意図的な嘘であって、山田の主張はいまだ強い抵抗にさらされているのだ。


(2017.7.18 記)


 「五七五七七というコスプレ」の筆者は『短歌人』の斎藤寛さんである旨、村田馨さんからお教えいただきました。また、斎藤さんご本人からも連絡をいただきました(ともに下のコメント欄)。村田さん、斎藤さん、ありがとうございました。


(2017.7.23 追記)

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コメント
225
はじめまして。短歌人の村田馨と申します。
中西さんが引用された「五七五七七というコスプレ」を書いたのは短歌人の斎藤寛さんです。斎藤さんは今年の偶数月の「短歌人」で時評を執筆しています。以上,情報としてお伝えいたします。

226
村田さん、はじめまして! 情報ありがとうございます!

私は現代短歌に全くうとくて、村田さんのコメントで斎藤寛さんのお名前を初めて知りました。昨年末に『六花』1号掲載の菊池孝彦氏の文章を読んで感服しましたが、短歌人にはよい書き手が大勢いるのですね。

村田さんのこともお名前しか存じ上げませんでしたが、いずれ総合誌などで歌や文章を拝見したいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

227
はじめまして。斎藤寛です。村田馨さんからこちらの記事についてお知らせいただきました。拙論を引いていただきありがとうございました。
実は一昨年9月のmixiの記事で、こちらのブログの記事を引かせていただいたことがありました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945787494&owner_id=20556102
その節はご挨拶なしで引かせていただきましてすみませんでした。
なお、上記一昨年9月の拙記事については、「短歌研究」編集部宛にメールでお知らせしたのですが、返信はありませんでした。

229
斎藤寛さん、はじめまして! 思いがけずコメントをくださり、ありがとうございます。また、以前に拙論を引用してくださったことがあるとのこと、こちらもありがとうございました。自分の文章が引用されることはめったにないので、光栄です。

短歌研究編集部からメール返信が来なかったのは残念なことでした。角川短歌などに三枝論を批判する文章を投稿すると非常に迷惑がられます。なぜなんでしょう??

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