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 水田を歩む クリアファイルから散った真冬の譜面を追って

   笹井宏之『ひとさらい』(2008年)



 年下の友人から、掲出歌をどう解釈するか、訊かれた。その場でとっさに、

「真冬のある日、
 散らばった楽譜が木枯らしに飛ばされた。
 それをずっと、ずっと
 追いかけているうちに、
 とうとう
 夏になってしまった。

 もう走るほどでもなくなって、
 田んぼのなかのあぜ道を歩いている。」

という意味の返事をしたら、黙っている。なんとか言ってくれよーーー。


     §


 なくした楽譜を追うこの人は、いまもどこかを歩いている、という気がする。


     §


 もし「水田を走る」だったら、凡庸なファンタジーだった。走らず「歩む」ところに、妙な現実感がある。明け方に見る夢がしばしばそうであるように。


(2017.6.10 記)

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コメント
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岡松雄その他
こんばんは。
早崎、岡松の調査は行き詰まってしまいました。加藤克巳氏宛の岡松氏のハガキ(早崎氏の死を告げたもの)を確認してもらおうと加藤氏の御子息に連絡を取ったのですが、加藤氏の資料一切を今年3月まで7年かけてさいたま文学館に寄贈したとのことでした。文学館の方はまだ全然手付かずの状態とのことで、何年後にハガキを確認できることやら。岡松氏の方は、会社も既になく奥様も亡くなっていて、男系の御子息もいないようなので、これ以上の追跡は無理のようです。会社の謄本を取ってみたのですが、昭和59年9月に代表取締役が他の方に替わったみたいです。その方に電話を入れて聞くと、少し考えてから社長に就任したということと当時の会社関係のものは全部処理したとのことで、59年没は確からしいのですが、亡くなった月日までは正確に覚えていないということでした。
小玉朝子は、『橄欖』昭和5~8年を今見ているのですが、『黄薔薇』に関して昭和7年11月号に他の3冊の歌集と一緒のほぼタイトルのみの広告と、昭和8年7月号に原稿用紙4枚くらいの短い評が三段組のページに載っているだけでした。ほぼ無視に近いのかも。小笠原文夫氏も何も書いていなかったし、どうなんでしょう。小玉朝子氏は松田景三さんという方の追悼文を書いているのですが、それに平塚市に転地療養に来ていること、自分の方が先に亡くなるかもしれないと思っていたこと、いつ立てなくなるかわからないので後顧の憂いを断つために読んだ手紙はすぐ焼却していることが書かれていました。『橄欖』の主宰の方の調査では、昭和9年には2回(最後は4月号)歌を出しただけで、昭和14年には同人ではなくなっているということでした(『橄欖』昭和10~13年はお持ちではないということでした)。その間に亡くなったということではないでしょうか。というより、昭和9年後半に亡くなっていて、和爾猫さんがご覧になった『エスプリ』最終号が小玉朝子追悼を兼ねた『黄薔薇』特集号だったのではないかと推測しています。『橄欖』昭和9年以降が送られてくるのを待って、それで確認できなければいよいよ立命館図書館へ行くしかないと思い始めています。『昭和天皇実録』に小玉姓の幣帛を下賜された方が見つけられなかったのも残念です。早崎、岡松の履歴調査はこれで終了しようと思います。あとは小玉朝子だけです。

200
「エスプリ」 →「カメレオン」ですね。間違えました。

201
「歌壇」7月号の時評でも、土岐友浩さんがこの歌を取り上げていました。

〈たとえばこの歌。僕は水の張った田んぼの中を歩くところを思い浮かべて疑わなかったのだけれど、冬の「水田」に水はないだろう、という指摘を参加者から受けた。
 一方で「真冬の譜面」といっても、一首が冬の歌とはかぎらない、という意見も少なからずあった。「真冬の譜面」は五線や音符、曲のイメージを形容した言葉で、「水田」はいわゆる水張田、つまり夏の田んぼとして鑑賞したいという「読み」だ。(以下略)〉

あと別件ですが、「現代短歌」7月号の篠弘×吉川宏志の対談の中で、篠さんが桐谷侃三の話を詳しくしていました。ただ、「侃三=水穂」説撤回の理由は述べられておらず、青丘の「T・K氏」発言を受けて高橋勝治だと突き止めたという内容です。「挫折と迷走の証明」には全く触れていません。

202
azzurroさんへ

さいたま文学館ですか・・・地縁で仕方ないとはいえ、うれしくないことですね。貴重な資料を溜め込んで、困ったものです。私等が生きているうちには建ちませんよ。もう一度バブル景気でも来ないかぎりは。

私はたしかに『カメレオン』最終号を見たことがありますが、残念ながらそのときには小玉朝子にさほど強い関心がなく、閲覧時間が限られていたこともあって、特集記事を全然読まず、写真にも撮りませんでした。azzurroさんの影響で小玉朝子に私も関心を持ちつつある今では、惜しい機会を逃したと思っています。

ただ、実態が「追悼特集」なのにその特集名に「追悼」の二文字を入れないというのは、ちょっと考えにくいことです。そこが引っ掛かります。『橄欖』昭和10~13年分の調査がまず必要なのではないでしょうか。

203
松村さんへ

歌壇と現代短歌ですね、情報ありがとうございます。近所の書店にはどちらも置いていなくて、なかなか最新号を追い切れません。

なるほど、「真冬の譜面」は解釈が分かれるのですね。でも、どうでしょう。私の解釈で大丈夫だと思いますが。土岐氏がいったい何に迷っているのか、いまいちよく分からないです。時評の全文を読んでみます。

篠さんの対談もぜひ読まなければ。高橋勝治説も私はどうかと思っています。桐谷侃三については私見があって、早く文章にまとめたいと思いつつ、なかなかまとまりせん。

204
「勝次」ですね!

205
岡松雄その他
岡松雄氏の没月日はわかりました。6月19日でした。『次元』を調べてもらったのですが、それには初期の頃、名が出ていただけで没年頃は痕跡もなかったようです。いつの頃からか加藤克巳氏の『個性』に参加していたようで、昭和59年9月号に訃報が掲載されていたようです。
それならと、早崎夏衞氏に関しても、『個性』(昭和50年5月号)上に岡松氏の書いた早崎についての文章はないか調査を依頼しました。
小玉朝子氏に関しては時間が掛かりそうです。『橄欖』の次の分が送られてくるまで多分2週間から1月くらい掛かると思います。前回も受付てもらってからそれくらい掛かったので。次回は昭和9~10 年か11年までか、相互貸借の冊数制限があるのと、昭和9年から1年が3分冊になったので、さらに何冊送って戴けるかは相手の図書館の判断になるので。
小玉朝子氏の父君の正確な没年月日がわかったので、宮内庁に再度問合せたのですが、小玉姓の該当者はいないようでした。小玉は既婚者だったのか、それともペンネームか、没年が分かってもまだ問題は消えなさそうです。とにかく次の『橄欖』を待ちます。

206
『橄欖』の戦前の号を合本でまとめて持っていて、それを相互貸借の制度によって貸してくれるのはどこの公共図書館でしょうか? とにかく小玉朝子の情報が増えるとよいですね。早崎夏衛についても期待しています。

209
『橄欖』を相互貸借して戴いているのは、図書館ではなく、日本現代詩歌文学館です。戦前分はコピーを合本にしたものです。
早崎夏衞に関しては、今回もだめでした。『個性』の入稿締切から考えて、亡くなったのは多分昭和50年3月だと思われるのですが、どの新聞の訃報欄に載っていることやら。でも、没年月日がわかったとしても、およその生年とそれのみ。『白彩』を春山行夫氏と北園克衛氏が評価していたと加藤克巳氏が書いていましたが、その二人の文章も見つけられていません。和爾猫さんに心当たりはおありでしょうか。早崎夏衞という名は短歌史にそこそこ出てくるわりに、全くと言っていいほど生活情報がないですね。不思議です。岡松雄氏には、前妻にも娘が、後妻にも連れ子の娘があったようですが、個人情報保護法の壁で行き詰まってしまいました。それが無ければ、早崎情報にもたどり着けた可能性があったのに悔しいです。
ところで、ご存知かもしれませんが、『創生』1970年11、12月号と2回にわたって蒲地侃追悼特集になっています。1964年10月号は石川信雄追悼特集になっています。参考になればいいのですが。

212
日本現代詩歌文学館、図書館を通せば貸借に応じてくれるんですね。私は最初から無理と決め込んでいました。これはありがたい情報です。ありがとうございます!

昭和のモダニズム系歌人の研究はほとんど進んでいないので、早崎関係の情報もないわけです。春山行夫と北園克衛の文章は早崎・加藤らが出していた雑誌『短歌精神』に載ったものでしょう(『白彩』と同じ発行元です)。『短歌精神』は加藤克巳自身が揃いで持っていて、加藤没後に日本現代詩歌文学館に寄贈されたと噂で聞きましたが、azzurroさんの情報に従えば、本当はさいたま文学館なんですかね。

私も『短歌精神』は未見です。日本の古本屋に一部の号が出ていますが、値段が高くてちょっと買えません。azzurroさん、もし『短歌精神』を見ることができたら、目次を公開してください。

『創生』も未見、追悼特集はぜひ見てみます!

213
短歌精神
日本現代詩歌文学館から本を借りるためには、全国の他の図書館等にないものとか、いくつか条件があるみたいです。そこにある『短歌精神』(短歌精神詩房)は以下のもの1冊だけです。

短歌精神 第二巻 第3号 目次
作品
 花靑素    早崎夏衞 4
 四角の遠景  加藤克巳 6
 蟻      佐藤彰矩 7
 氷獄     飯田 清 7
 回春     小林正雄 8
 鑄鐵工場   齋藤 大 8
 面影     岡松 雄 9
今日の短歌を語る  岡松 雄 10
歌壇時評      加藤克巳 12
季節の齒車     早崎夏衞 15
作品
 をりをり    島田忠夫 17
 白葡萄旅吟   大森 朴 18
 雛まつり    清野重郎 19
 江戸川雜歌   福井延幸 19
 スキー     日爪薫風 20
 一すぢの徑   都志見善三 20
 痴恫庵常盤記  藥師寺 晃 21
 不快事一束   赤津興身 21
 寝園      小笠原文夫 22
 いつちの露   清野重郎 23
 Pension Mimosas(映畫時評)    加藤克巳 24
Reflector
 本誌先號作品評  佐藤彰矩・黒木 徹 26
編輯所便     早崎夏衞 28

214
目次ありがとうございます。日本現代詩歌文学館はとても利用しやすい文学館だと思っていましたが、そこまでサービスをしているとは! すばらしいですね。ここにしかない資料、たくさんありますからね。

加藤克巳寄贈本、未整理・未公開のものがあるという話でした。私自身が確かめたわけではありませんが。

215
現代詩歌文学館に私が確かめたところによると、寄贈があった場合、余程極端に多い場合を除いて、数ヶ月から3年が整理に費やされるということでした。加藤克巳氏自身からの寄贈ならもう検索できるようになっているはずだということでした。ただし、寄贈者は基本的に明かされないようになっています。詩歌文学館で全項目で加藤克巳で検索すると、430件ヒットします。こんなものではないでしょうか。
さいたま文学館にも連絡しました。係りの方が休みだったので、『短歌精神』があるのか分かりませんが、きちらも整理に費やされるのは、数ヶ月から3年ということで、雑誌類は収容な書き込みでもない限り、3年以内に検索できるのではないでしょうか。また、それを優先してもらえるようにお願いしておきました。さいたま文学館も今回いろいろお世話になっていて、結構親切ですよ。加藤克巳氏の御子息の連絡先(文献にあったという条件で)教えて戴いたのも、さいたま文学館だったので。

216
さいたま文学館、すみません! 別の、以前から建てる計画だけがある文学館と勘違いしていました。いやほんと、失礼なことを申し上げました。さいたま文学館関係の私の発言、すべて取り消しておわびします! 『短歌精神』の所蔵の有無が判明したらぜひお教えください。

217
短歌精神
さいたま文学館、電話する前に資料検索しておくべきでした。検索しました。ダブリ号もありますが37件ヒットしました。1巻2号と2巻2号が見当たらないですが、それ以外は続いているようです。資料を移すのに7年かかったそうですから、雑誌類は整理にした分からアップして来たのではないでしょうか。加藤克巳氏が全冊持っていたのなら、検索にヒットしなかったものはどこかにまだ紛れ込んでいるということでしょう。やがて、出てくるのでは。

218
これはすばらしい情報をありがとうございます。さいたま文学館、調べたことなかったです。自分、ダメだなあ・・・ 私はさいたままで出掛けて、現地で閲覧したいと思います! 加藤さん、合冊を持っていたはずですが、全号揃いではなかったのかもしれませんね。

219
「短歌精神詩房」を入れず、「短歌精神」のみで検索した方がいいみたいです。それで、6件ヒットがあり、「短歌精神」をクリックすると37件が出てきます。
さいたま文学館も、高知県立図書館の例の司書さんが引っ張り出してきました、私は思いも及ばなかったので。岡松氏の全歌集もそうで、それで岡松氏の会社等がわかり、私がホームランというところまで引っ張っていきたかったのですが、結局頓挫してしまいました。司書さん本人はわかっていないでしょうが、将来に誇れる仕事してますね。ちゃんと言っとこう。

224
司書さんは専門職ですからね!
民間に業務委託して給料ちゃんと払わないとかいうことになると、
司書さんがかわいそう。

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