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 1945(昭和20)年は戦況がいよいよ悪化し、内地の月刊誌は編集スタッフと印刷用紙をようやく確保しても、印刷所は確保できないことが多くなって、発売・頒布の遅れも珍しくなくなった。奥付にある発行日より実際の発売・頒布の日にちが遅れると、その間に新しい記事が追加されることもあった。時局は刻々と変化し、その変化は当然、記事の内容に影響した。だから、当時の雑誌を読むときには、それがいつ実際に発売・頒布されたかに注意する必要がある。

 短歌専門の商業誌『短歌研究』の戦中最終号は第二巻第四号で、奥付の上では1945(昭和20)年4月1日発行ということになっているが、実際の発売日はいつだったか。三枝昂之『昭和短歌の精神史』(本阿弥書店、2005年)によれば、

 ……八月になってやっと発行された。(347頁)


 ところが、今日ウェブ上で閲覧した樽見博「『短歌研究』昭和20年第4号:疎開という名の難民」(「日本古書通信 編集長だより」9)は、

 恐らくは6月になってから発行され、……


と書いている。これは三枝の方が正しい。『短歌研究』次号(第二巻五号)に、

 辛うじて四月号を八月中に出してゐる始末である。(「歌界記事」)


とあり、三枝はこれを根拠にしたものと思われる。樽見氏は三枝の本を読んでいないのだろう。


(2016.10.4 記)

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