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 昔、西日本新聞の読者短歌欄の選者は土屋文明だった。その欄での文明の評言を1996(平8)年の『熊本アララギ』がより抜いて載せているのだが、なかに

離れ住む長の娘が夢に顕ち冷めたき寝汗を拭きてくれたり


という投稿歌があり、文明の意見はこうだ(『熊本アララギ』1996年9月)。

 長女のことを長の娘とはいへない。長の娘なら自分の上長者の娘といふことだ。オサメなら昔の掃除女だらう。歌をつくるに学問はいらないがへんな知つたかぶりのことばは使はない方がよいことは私の日頃の主張である。


 「長の娘」はヲサノムスメ。ヲサは自分自身にとっての統率者や年長者の意で、ヲサノムスメは例えば村人から見た村長の娘、漁師から見た網元の娘だ、ということだろう。ちなみに「掃除女」のヲサメは平安時代の女官で、「長女」と書くが、これはもちろん私たちの言う長女とは別の語である。

 葛原妙子『朱霊』(1970年)に

なにぞそも長(をさ)のむすめは母なるわがまへにきはめてしづかにわらふ


という一首があり、小池光にも同じく長女の意でヲサノムスメと詠んだ歌がたしかあった。いずれも言葉の誤りということになろうか。


(2016.9.7 記)


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