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 三省堂版『現代短歌大事典』の尾山篤二郎の項を見たら、

 六三年、横浜市金沢区に七五歳の生涯を閉じた。


とあり、その地名に思い出すことがあった。

 私の恩師は東京の人だが、大空襲の後、北条氏ゆかりの金沢文庫の近所に転居した。同じ町内に学者や文人が何人か住んでいて、戦後しばらく、一番若かった師の家に定期的に集まり、互いに関心のあるテーマについて語り合ったという。尾山はひとり杖をついてやって来て、会が終わると、またひとり杖をついて帰って行ったそうだ。

 どんなことを、どんな調子で尾山が話したのか。師が亡くなる前に聞いておけばよかった。


(2016.9.1 記)
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