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 『山隅衛全歌集』の年譜によれば、山隅は1945年3月、二十年勤めた広島市内の小学校を辞し、4月から広島実践高等女学校に勤務。8月6日朝は校内にいたという。

 同校の所在地は広島県佐伯郡井口村。広島市内まで電車で十五分ほどの距離である。

 『山隅衛全歌集』で私がしばしば読み返すのは、やはり原爆を題材にした一連である。何首か紹介していこう。

空襲解除鳴るに出でゆく電車にて今日しも暑き朝空の青


 「劫火」二十三首中の一首目。「空襲解除鳴る」はラジオ放送でブザーが鳴り、防空警報の解除が伝えられたということ。「電車」は広島電鉄。

 その日は朝7時31分に警戒警報解除。人々は次の警報発令を聞くことなく8時15分を迎えた。その四十数分の間に詠んだ歌、という設定である。

 いつも通りの平凡な一日になるはずだった。そのいつも通りの朝の空気を伝えるのが一首のねらいだろう。私たち読者は直後に何が起こるかを知っているので、緊張してこの歌を読むことになる。

(続く)

(2016.8.14 記)


 「空襲解除鳴る」をラジオ放送のブザー音と書いたが、戸外の情景を詠んだ歌なのでサイレンと解した方がよい。訂正します。

(2016.8.16 追記)


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