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 永井陽子が『人』に参加した経緯が判明した。

 ネットの検索エンジン、畏るべし。
 Googleで「永井陽子」を検索すると、1番最初に

   永井陽子の「比叡山おばけ屋敷」

なるページのリンクが出てくる。この間、わずか数秒。私とても、今まで何度となくネット上で永井陽子関係の情報を探したことがあるが、なぜこのページを見逃していたのだろう。

 それは「2003年12月14日」という日付を記した、京都造形芸術大学教授中路正恒氏のページなのだが、この名には覚えがある。『人』創刊メンバーの1人だ。

 さて、ここに中路氏が書くところによれば、氏が永井を『人』に誘ったのだという。わざわざ虚言をなす意味もない。本当の話だろう。とくに関係のあるところを次に引いておく。

 学生時代、わたしが属していた京大短歌会に永井さんと同時に角川短歌賞候補になった友人がいて、その人とともに短歌人の集会を訪ねたのが彼女にお会いした最初であった。(略)その後わたしは「短歌手帳」というとても元気の良い同人誌を発見してそれに入れてもらっていた。しかしやがてそのグループは解散になり、改めて岡野弘彦氏を中心とする「人」という集まりができた。わたしもそれに誘われ、入ったが、その時永井さんにもわたしからお願いして参加してもらった。(略)しかし「人」には暗黙のこととして定型短歌に限るという約束があったようだ。わたしの新音律の試みは掲載を拒否された。わたしは「人」を去った。永井さんも行動を共にしてくれた。



 「短歌手帳」とあるのは、正しくは「短歌手帖」。成瀬有らが『人』創刊に参加する前に出していた同人誌である。1971(昭和46)年9月創刊。72年11月に5号で終刊になった。敬愛する先輩からもらった同誌全号のコピーが手元にあるが、見ると中路氏は第4号に短歌30首をもって初出詠。同号の編集後記(「ああ、編集手帖」とかいう、若気の至り風のタイトル)に成瀬が次のように書いている。

 何の主義主張もない、ただの顔なじみの寄り集りと僕ら自身も思いこんでいるほどであった〈短歌手帖〉に、共鳴し、参加を申し込まれた方がある。本号より参加下さった中路氏である。同人の誰れもが未知の、遠く京都からの氏の作品で本号をしめくくることができたことを、編集二人のささやかではあるが、満足としている



 それにしても、中路氏の文章はまことに興味深い。おそらく1972年の夏だろう。永井が氏の一乗寺向畑町の下宿を訪ねたことがあるという。氏は友人2人とともに迎え、タンシチューを作った。4人で夜を徹して歌仙を巻き、翌日は比叡山に遊んで、おばけ屋敷に入った。その暗闇のなかで、若き日の中路氏と永井は手をつないだ。

 氏が鞍馬の下宿に移ったとき、永井から葉書が届き、「水上で鶴が」云々の1首が記してあったという。氏ははっきり書かないが、これこそ相聞歌ではないか。

なだらかに明日へとつづく橋を絶つそのみなかみに鶴は燃ゆるも (『なよたけ拾遺』)

比叡山おばけ屋敷はいまもあそこにあるのだらうか なう 白雲よ (『モーツァルトの電話帳』)




リンク:中路正恒, 永井陽子の「比叡山おばけ屋敷」
    http://www2.biglobe.ne.jp/~naxos/aakayou/nagai2.htm

    中路正恒, 永井陽子の「みなかみの鶴」
    http://25237720.at.webry.info/200705/article_19.html


(2013.9.18 記)

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