最新の頁   »   短歌一般  »  土屋文明記念文学館「現代女性歌人展」(3)自筆原稿
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 現代の作家は手書きの原稿を書かなくなった。未来の文学館は何を展示すればよいのだろう。

 今回の展示の中心は、一つは歌人の色紙。そしてもう一つは、その色紙の説明を歌人本人が原稿用紙に書いたもの、だった。手書き原稿を日ごろ書かない歌人たちに、新たに展示用として書いてもらったわけだ。文学館の工夫だと思う。

 それらはいわゆるナマ原稿であると同時に、実際に出版の必要から作成したものでないという意味で、原稿というモノの模造品でもある。

 模造品は本物に近い方がおもしろい。尾崎左永子さんの原稿には一箇所、誤字を訂正した跡が残っていた。また、道浦母都子さんの鉛筆書きの原稿には、消しゴムで消して書き直した跡があった。いずれも新しい原稿用紙に一から書き直せばよいところを、そうしなかったためにむしろ本物らしくなった。

 ただ、その他のほとんどの歌人は、やはり展示用に清書してきたようだ。わざと朱書きで訂正の指示を書き入れて汚すなど、もっと模造品らしく遊ぶ人がいてもよかったかもしれない。

 ともあれ、現代歌人百人分のペン字の筆跡を一度に見ることができて、私はとても楽しかった。会期は9月19日(月・祝)まで。おすすめします。


(2016.8.8 記)

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