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 『芸苑』は尾山篤二郎が主宰していた歌誌だが、その1945年2月号に掲載された高須茂の随筆に次のような一節がある。

 間違ひといふわけではないが、近頃不愉快な言葉に「特攻隊」といふのがある。「特別攻撃隊」の略称である。呆れてものが云へぬ。

  (高須茂「番町日記」3。高須は『日本歌人』創刊同人だった人)


 高須の憤りは理解できる。言葉を短く略して使うと、往々にして元の言葉よりも語感が軽くなる。それだけではない。言葉が指すモノ・コトまで軽く見られがちになる。例えば、特別急行は「特急」と略して呼ばれるようになるや、たちまち日本全国の鉄道で走ることになり、その本数はやがて急行をはるかに超えてしまった。「特攻隊」という略語が特別攻撃隊の存在を軽んじているように、高須には感じられたのだろう。

 先日、NHK総合テレビのドキュメンタリー番組『特攻~なぜ拡大したのか~』(8月8日(土)22時放映)で軍の内部文書が紹介されているのを見たが、その文書にも当然のように「特攻隊」とあった。軍の上層部が特別攻撃隊とそれを採用する作戦の重大性についてどのように認識していたか、推して知るべきか。


(2015.8.13 記)

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