最新の頁   »   短歌一般  »  『短歌研究』2015年8月号を読む(1)巻末付録1945年9月号
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 『短歌研究』8月号が三枝昂之の論考「「短歌研究」戦後復刊号を読む」を掲載し、さらに巻末付録として同誌1945年9月号のコピーを付けている。

 1945年9月号には〈占領軍司令部の検閲が入る前の版〉、および〈その検閲後に一部削除して刷り直した版〉の二種が存在し、どちらの本も頒布された(当ブログ2013年10月22日付の記事)のだが、今回の付録は前者のコピーである。三枝はその辺りの事情にまだ気付いていないようで、全然言及しないが。

 その付録の誌面をよく見ると、ノドに近い行の活字が若干細く歪んでいる。短歌研究社の一室の書架には、『短歌研究』のバックナンバーを巻ごとに合本にしたものが整然と並んでいるそうだ。そのぶ厚い一冊からコピーを取ったとおぼしい。

 1945年当時の編集部からすれば、一部削除前の版が本来の形だ。そこで、そちらの本を合本・保存用とし、一部削除後の本は特段、社内には保存しなかったのかもしれない。


(2015.8.11 記)

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コメント
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中西さんが突き止めたa版とb版の話が、なかなか共有されないのがもどかしいですね。今回が絶好の機会でしたが。

でも、「その筋」に関する三枝さんの書き方が、以前とは変っていることに注目しました。2010年の文章では、昭和20年の「短歌研究」9月号と10月号の編集後記を引いて

 「その筋」がGHQであることを明かしている。

と書いていましたが、今回の文章では、

 時局急変を受けて編集発行人である木村による自主規制の可能性が高い。

と記しています。論旨の大筋は変っていませんが、この点に関しては中西さんの主張と同じになりましたね。参考にしたのかな?

111
 いやいや、三枝さんの視界には私の文章は入っていないでしょう。『日本短歌』1945年9月号の発禁についても、私は10年以上前にかなり長めの論文を書いているのですが、やはり引用してくれないですから。

 三枝さんは、たぶん今回初めてプランゲ文庫の存在に気がついたんですね。アメリカ側の検閲文書を見たら、GHQが雑誌のどこを問題にしたのかが一目瞭然なので、それ以外の箇所は「自主規制」という推定におのずからなるわけです。『短歌研究』『日本短歌』とプランゲ文庫との関わりについて初めて指摘したのは碓田のぼる氏で、その後、私も上記の論文でプランゲ文庫を使っています。この点では、三枝さんは周回遅れという感じです。

 ただ、今回の三枝さんの文章には一つ新発見が含まれているんです。次回の記事で書くつもりですが、その発見はちょっとおもしろいです。

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