最新の頁   »   短歌一般  »  「想ひ見るべし」考(2)吉川宏志の解釈
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 さて、今野のこの解釈に対して、吉川宏志が反論した。

 私は、〈適当〉という意味で取るのには、少し違和感を持つのである。

   (「「見るべし」について」、『塔』4月号。以下同)


 今野が否定した「見るべきである」と取る解釈を、吉川は逆に支持しているようだ。吉川の根拠は、節の推敲ノートの初案が「観るべかりけり(蓋し観るべし)」となっていたことで、

 つまり、もともとこの歌には、見ることへの強い信念が込められていた……


という。しかし、これはどうだろう。初案は結局、決定稿とはならなかった案である。吉川も書いているとおり、

 それを「想ひ見るべし」という抑制された静かな結句に変えていった……


のであり、そのことはむしろ決定稿が「見ることへの強い信念」から離れたと解する根拠になりかねない。

 もっとも、吉川の文章はとてもおもしろかった。私が苦手なのは、抽象論の合間に歌を漫然と三首、五首と引いて、その一首一首の読解は何も示さないような文章。好きなのは、歌一首を掲げ、それについて語り尽くそうとする文章。


(2015.5.9 記)

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