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 次は、角川『短歌』の編集長であった冨士田元彦の証言。

 それは昭和四十六年のことである。アンソロジー『現代短歌72』の編集にあたって、史さんと葛原妙子さんに対談していただきたいという企画を企てた。たぶん史さんには承けていただけるだろうという気持ちからまず葛原さんにお願いしようということで、うかがったところ、夏には軽井沢に行っているので史さんのご都合のよろしい時にお訪ねすることではどうでしょう、という返事だった。その上で史さんにこの話を持っていったのだが、にべもなく断わられてしまった。もっとお若い方となさったら、というのが史さんの返事だった……
 (「「原型」創刊の頃二、三」、『原型』2003年4月号)


 「もっとお若い方と」というのは体のいい断り方で、要するにその人とは対談したくないというのだ。なぜそんなことになってしまったのか。冨士田は続けて、

 その年はちょうど葛原さんが迢空賞を受賞された年であった。史さんは順序から言うと遅れをとって受賞されたのは、六年後になる。


と書いていて、その辺りに史が対談を嫌がる理由があったと見ているようだ。

 前に引いた史の講話に、「賞もお取りになって、先輩面」する歌人の話が出ていた。ほかでもない、1971年の迢空賞の発表後に史を憤慨させる出来事があったものか。


(2015.4.30 記)

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