最新の頁   »   斎藤茂吉  »  田中隆尚『茂吉随聞』上巻を読む(2)ある日の短歌指導
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 1943年7月13日、田中の兄の歌を見た茂吉は、

六月(みなづき)の雨にぬれゆく青萱の葉末するどく地(つち)に垂れたり


を採って、

草道を分けて来ぬれば目の前に暮れ残りたる白き石橋


を採らず、次のように言う。

 『暮れ残りたる』は新古今調だねえ。大学を出た者はすぐ象徴といふんだ。

  (122頁)


 これはもちろん、「暮れ残りたる」に否定的なのだ。前の歌の構成だとか調子だとかが緊密なのに対して、後の歌の上句が弛緩しているのは私にも分かる気がするが、「暮れ残りたる白き石橋」はおもしろく感じられるので困ってしまう。安易な幽玄に走るのはつまらないということなのだろうが。


(2015.1.8 記)

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