最新の頁   »   短歌一般  »  『塔』2013年10月号を読む(2):大森静佳について
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 花山周子さんの大森静佳歌集『てのひらを燃やす』評に引かれている歌がとてもいい。

ビー玉の底濁る昼 くちづけて顔から表情を剥がしたり
しばらくは眼というぬるき水面に葉影映して君を待ちおり
生前という涼しき時間の奥にいてあなたの髪を乾かすあそび



 「ぬるき水面」は自己の身体を気味悪いものとして捉えているようで、その気味悪さに心引かれる。底の濁るビー玉も、気味の悪い自己の比喩のようだ。今を「生前」と見なし、涼しき時間と見なし、さらに性愛を遊びと見なすことで、自らへの違和感をやり過ごそうとしているのだろうか。

 なお、花山さんは「顔から表情を剥がし」について「相手の人間性をも奪うかのような行為」と記しているが、この接吻の相手は単に驚いたか、あるいは恍惚となったか、ではないか。「人間性」という語を使うなら、むしろ「私」は「あなた」を「人間性」から解放したのでは? 「私」自身がそのことに自覚的だったかどうかは分からないが。

 歌集を読まずに花山さんの引用歌だけを見ているので、全然見当はずれの読みだったらすみません。


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