嶋岡晨は、かつて笹原常与の詩について「レアレスト・ファンタスティック」と評した。なるほど、非合理的な風景を描きながら、この世の真実に確かに触れていると思わせるのは、『假泊港』のひとつの特徴である。否、優れた詩はすべてそういうものだろうか。
紙飛行機についての、影についての、世界についての認識が私の脳の中で更新される。そのことで、私自身もまた更新される。詩を読むとは、こういうことだろう。
遺稿集をまとめる話があると里舘氏から聞いた。願わくば、『假泊港』の隣りに並べるのにふさわしい、美しい本を。
(2014.12.14 記)
飛行機のかたちに 紙を折り畳んでゆく。
その時 風も一緒に折り畳む。
あまりに深く折り目をつけすぎて 青空の端まで折り畳んでしまう。
折り畳んだ風と青空をゆっくりほどいて 紙飛行機は飛んでゆく。
(「紙飛行機」より)
影を踏んでいた子は 影に受け入れられて
そのまま 影の中からもどってこなかった。
それからというもの
影が その子をさがしている。
(「影踏み」より)
紙飛行機についての、影についての、世界についての認識が私の脳の中で更新される。そのことで、私自身もまた更新される。詩を読むとは、こういうことだろう。
遺稿集をまとめる話があると里舘氏から聞いた。願わくば、『假泊港』の隣りに並べるのにふさわしい、美しい本を。
(2014.12.14 記)
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