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父の日も母の日も無いあの頃は父の座があり母の座があり

  阪上民江



 『塔』に載るこの人の歌を、毎号楽しみにしている。今号では上の一首が印象に残った。時代認識の裏に回想の気分を潜ませる一首だが、何よりそのテーマを支える口語調のレトリックが手堅い。日と座の字の入れ替えだけでなく、「も」と「が」の響きの差、一回だけの「無い」に対して二回繰り返す「あり」。それらがいずれも軽薄な現代と重厚な過去の対照を強調する。


(2014.9.8 記)

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