最新の頁   »  2017年02月26日
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 葛原妙子の第一歌集『橙黄』(1950年)の前半は作者自身の疎開体験に取材したもので、軽井沢にあった葛原家の別荘が主な舞台である。葛原の没後十数年経ったころか、その建物がいよいよ取り壊されるのでその前に、ということで某研究会のお姉さまたち(今や歌壇の大御所の方々ばかり!)にくっついて私も軽井沢まで出掛けて行った。目的地に着いてみると、古い木造家屋の前にほっそりと背の高い女性が立っていた。穴澤芳江さんだった。その日たまたま、穴澤さんも同じ目的でそこに来ていたのだった。

 お会いしたのはこの一度きりだが、穴澤さんはご縁のある人と私は勝手に決めている。このたび刊行された『我が師、葛原妙子』(角川文化振興財団、2017年)も早速購入し、うれしく拝読した。

 これまでに葛原妙子をテーマにした研究書の類としては、次のようなものがあった。

  塚本邦雄『百珠百華:葛原妙子の宇宙』(花曜社、1982年7月)
  稲葉京子『葛原妙子』(本阿弥書店、1992年4月)
  結城文『葛原妙子:歌への奔情』(ながらみ書房、1997年1月)
  寺尾登志子『われは燃えむよ:葛原妙子論』(ながらみ書房、2003年8月)
  川野里子『幻想の重量:葛原妙子の戦後短歌』(本阿弥書店、2009年6月)

 このうち、生前の葛原を直接知っているのは塚本と稲葉だが、この二人も葛原の私生活に日常的に立ち入るほどの親密な交流をしていたわけではない。穴澤さんは葛原の晩年、東京都大田区の葛原邸からほど近いところに住み、葛原に師事して頻繁にその住まいを訪れていた人である。『我が師、葛原妙子』は、穴澤さんが直に接した葛原の印象、葛原からの直話などをまとめたもので、葛原の伝記研究の資料として上記五冊とは異なる価値がある。


(2017.2.26 記)

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Author:和爾猫
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