最新の頁   »  2017年02月13日
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 北見志保子の歌についてもう一つ、樺太の少数民族「ギリヤーク」「オロッコ」等に対する認識。

年問へば十と答へし子がひとみつひに亡ぶる種族のいろか
亡びゆくこの子らが末を思ひみる杜ふかくあゆむツンドラ湿地
国籍のなき人人の生きざまもわれにはまさる清
(すが)しさあらむ


 こういった歌がある。先に引いた歌にも「死にゆく種族」など、同様の表現があった。『樺太を訪れた歌人たち』の著者は樺太において少数民族が差別的な扱いを受けていたことに触れ、

 ……アイヌに日本国籍が与えられ、アイヌのための教育所が順次、尋常小学校に昇格した後も、彼ら少数民族には日本国籍は与えられず、学校も格の低い「教育所」のままであったのだ。(25頁)


と指摘し、「つひに亡ぶる種族」「亡びゆくこの子らが末」といった表現には「そうした意識が反映しているだろう」とする。

 簡にして要を得た説明だと思う。ただ、それら少数民族の生活する土地を統治し、それにも関わらず彼らに国籍を与えず、立身出世の機会も与えなかった日本は、われらが祖国である。北見は少数民族の子どもたちに同情するが、その北見に当事者意識がまるで見られないのはどういうわけだろうか。これは非難ではなく、純粋に疑問として言うのである。

 「われにはまさる清しさあらむ」などと勝手なことを言って平気でいられるのは、どういうわけだろうか。


(2017.2.13 記)

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Author:和爾猫
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