最新の頁   »  2013年12月13日
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 紀伊国屋書店で買った数冊のうちの1冊がいわゆるムック形式の『穂村弘ワンダーランド』(高柳蕗子責任編集、沖積社、2010.10)。こういう本が出ていたことを全然知らなかった。未知の本を見つける場としては、本屋さん>>>>>>>>>>>>アマゾン。

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 この本でもっとも嬉しかったのが、初期の穂村の活動を間近で見ていた中山明が文章を寄せていること。二人の若かりし日のエピソードの紹介が貴重だ。黄色いフォルダを詰めた大量の封筒を赤い車で運び、赤い夕日のなか、赤い郵便ポストに片っ端から投函していく話が素敵。

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 中山によれば、『早稲田短歌』32号のインタビュー記事で、穂村は

 青春歌集でしょ、『シンジケート』って。


と発言しているという。ああ、これ以上端的に『シンジケート』の特徴を言い当てた言葉があっただろうか。

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 アンケート欄がおもしろい。「穂村弘のイメージは?」に対して俳人の小澤實の回答は「やさしくてちょっとつめたく頭がいい」。私なら、もっとストレートに「頭がいい」とだけ答える。

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 「穂村弘の短歌で好きな一首をあげて下さい」に対して回答が分かれるなかで、水原紫苑・井辻朱美・斉藤斎藤の3人が一致して、

呼吸する色の不思議を見ていたら「火よ」と貴方は教えてくれる


を挙げている。私も好きな歌だが、従来それほど多く引用されていた印象がないので、ほぉと思う。高野公彦が「嘘つきはどらえもんのはじまり」を挙げているのもなんとなく意外な感じ。もっとも、高野は講談社学術文庫『現代の短歌』に水原や加藤治郎を採り、穂村のことは採っていないので、元々穂村を高く評価しているわけではないのだろう。

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 「穂村弘に聞きたいこと」に対しては、「お元気ですか」とか「最近驚いたこと」とか、どうでもいい問いもあるなかで、吉川宏志の

 次の歌集はいつでるのでしょうか、なぜ長期間歌集にまとめていないのかを知りたいです。


という直球の質問が目を引く。私もそれを聞いてみたい。ただ、一方で、答えは聞かなくても分かっている、という気もする。穂村は『シンジケート』『ドライ・ドライ・アイス』以降の自分の歌に不満なのだろう。新歌集をまとめても、『シンジケート』を超えるものには到底ならないことを知っているのだろう。それ以外にどんな理由があるだろう。『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』はおそらく、1度きりの実験的なコンセプト歌集として、例外的に出すことができたのだ。

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 口絵の「穂村弘アルバム」も貴重だが、1985年の「大学サークルの合宿」の写真はもっと大きく載せてほしかった。人物が小さすぎて、写っている2人のどちらが穂村なのか分からない。『かばん』35号(1987.2)表紙の「歌人集団ペンギン村」って……。アラレちゃんからの借用だが、いかにも80年代っぽいネーミング・センスで、見ているこちらが気恥ずかしくなる。でも、今はもうこれも一周して、むしろ新鮮なのかな?

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高柳:では、穂村さんに肯定感を最初に与えたのは?
穂村:親でしょう。

 (対談「もっとキラキラ」)



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Author:和爾猫
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