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 それで『名歌名句大事典』に採られている平賀元義の歌だが、百十数頁にわたる「全歌全句索引」に目を通して、やっと次の三首を拾い出すことができた。

妹が家の板戸押し開きわが入れば太刀の手上(たがみ)に花散りかかる
吾妹子が手なれの琴のことさらに家路恋しき今宵にぞある
わぎもこに別れてゆけば眉引の横山の上に月ぞ残れる


 悪い歌ではないだろうし、人によって評価はいろいろだとも思う。ただ、一つ注意したいのは、この三首に対して「五番町」の一首がどこか異質であることだ。

 この三首には登場しない吾妹子その人が「五番町」の一首には登場する。生きることのかなしみを切々と感じさせる者として。

 ハナウタ風の「眉引」をわざわざ採って、「五番町」の絶唱を落とす学者先生は、よほど恋の道に通じているのだろう。


(2015.1.5 記)

 平賀元義の著名な歌、

五番町石橋の上にわが麻羅を手草にとりし吾妹子あはれ


  *五番町—ごばんちやう
  *手草—たぐさ
  *吾妹子—わぎもこ

の解説文が読みたくて『名歌名句大事典』(明治書院、2012年)を開いてみたら、この一首は収載していないのだった。

 では元義のどんな歌を代わりに採っているのか見ておこうと思ったら、今度は作者索引がない。せっかく巻末に「作者略伝」を付けているのだから、そこに作品の掲載頁を添えておけば便利になるのに、どうしてそうしないのだろう。

 「全歌全句索引」はある。編集段階では電子データにしているのだろうから、それを作者索引に作り替えるのはたいした手間でもないと思う。もったいない。


(2015.1.4 記)

 のどかにもやがてなり行くけしきかな昨日の日影けふの春雨

   伏見院(岩波文庫『玉葉和歌集』23頁)



 大学生のころに何かの本でこの歌を知って、「お、いいな」と思った。それで『玉葉和歌集』を図書館から借り出して読んでみたら、他の歌の印象は、特段この歌のように「のどか」なわけでもなかった。

 以来ときどき、何がちがうのだろうと考えてみる。意味? 調べ? いろいろと考えて、結局「ま、いいか」となる。それもこの歌の恩寵だろう。

 景色とか、昨日とか、今日とか、何かを言っているようでもあり、何も言っていないようでもある。茫洋としているところが春らしい。


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Author:和爾猫
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